てきぱき物語

マコト
  • マコト(24)
  • 同僚や後輩に頼られ、ようやく社会人としての自覚と自信が備わってきた。しかし、ただのリーマンになりたくないと思っており、「起業」精神はまだ不滅である。

第6話『コミュニケーション不足は僕のせい?』

後輩からリクエストされた業務用携帯電話をネットで調べているとき、営業アシスタントのイヌイさんが、僕たちのフロアに来て、あわてた様子でフロア中を見渡していた。
「どうしたんですか?」とたずねると、 「マコっちゃん、カワシマさん、見なかった?」episode 2 『コミュニケーション不足は僕のせい?』と逆に聞かれた。
「いいえ、見てませんが」僕は席を立ち、フロアを眺めた。ぱっと見では、カワシマさんらしき人は見当たらない。
「全くどこに行ちゃったのよ」
途方に暮れているイヌイさんに、「携帯はつながらないんですか?」と更に聞くと、彼女は首を横に振るばかり。
そして、イヌイさんは「ホワイトボードに何も書いてなかったから、このフロアに来て誰かとしゃべっているのかなと思って。お客様からクレームが入って、早急に対応が必要なのよね」と力なく言った。

ホワイトボードに何も書かれてないということは、外出していない。予定記入用のホワイトボードを利用している営業部は、外出先を必ずそれに書いて外出する。万が一忘れた場合は、電話して営業アシスタントに伝え、記入してもらう決まりになっている。
だから、外出先が書いてないということは、社内にいるということになるのだが、当人の携帯電話も不通で、フロア中探したがどこにいるかわからなくて、一刻でも早く捕まえたいのにそれが出来ないイヌイさんは、困り果てている。
とりあえず自席にもどるというイヌイさんに、「僕も見かけたら連絡します」と言った。
しかしその時、僕たちが話していた近くの会議室から営業のカワシマさんが偉い人たちと出てきた。なんだ、打合せだったんだ、と僕は思ったが、どうしてイヌイさんは、知らなかったのだろう?
カワシマさんを見つけたイヌイさんは、急いでカワシマさんのもとに駆け寄り、事情を話した。カワシマさんは、「打合せだったんだよ、伝えなかったっけ?」とのんびりとしたことを言った。イヌイさんは、キレ気味に「聞いてません!」と反論。要はコミュニケーション不足なのだが、僕を見つけたカワシマさんは、気まずくなったもんだから僕に矛先を向けた。

episode 2 『コミュニケーション不足は僕のせい?』 「マコッちゃんさあ、システムでみんなのスケジュールを共有できるようになんないの?アサノが業端のリクエストしたらしいけど、その前にグループウェアが必要なんじゃないの?」 カワシマさんがそう言うと、イヌイさんまで「そうよね。もっと詳細なスケジュールやドキュメントがチーム間で共有できるといいわよね」とたたみかける。コミュニケーション不足は僕のせいじゃないのに。
結局みんな同じで、何かあると自分たちで解決せずにシステムのせいにする。
「めんどくせー」とIWGPのマコトみたいに叫びたい気持ちを抑え、「リクエストがあるなら申請書を提出してください」とぶっきらぼうに答え僕はデスクにもどった。

確かに業務用携帯電話もグループウェアも無いわが社がどれだけ遅れているか僕だって知っている。でも、そんなに簡単にすべてが導入できるわけではないのだ。
みんな知っているのかなあ、僕がどれほど苦労して資料作成や交渉をしていることを。
「まあ、いいや」、と気を取り直して、途中だった業務用の携帯電話を調べ始めたときに、「グループウェアを入れるんだったら外出先からもメールやスケジュールが見えたほうがいいなあ。どうせリクエストがくるだろうから、先にいろいろ調べておこう。」そう思いつき僕はキャリアのサイトをじっくり調べ始めた。

episode 3 へ続く